イモムシ・イモムシ 〜カラフルなイモムシの競走〜
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画:らくだ
箱です。
デザイナー(A・ランドルフ)の写真付き。
ドイツでは、有名ゲームデザイナーは、ちょっとしたスターのようです。
左上が、スタートとゴールのマーカー。
左下が、移動用のタイル。
右側が、カラフルなイモムシ達です。
レビュー
7個並んだ木製のコマをイモムシに見立てての競走です。
ゲーム中移動するのはイモムシだけでなく、なんとゴールまで移動してゆきます。(笑)
アナログ感たっぷりの、楽しいパーティーゲームです。
自分の出したタイルに書かれた数字分がそのまま移動距離になるので、
当然ながら、大きな数字を出せばそれだけたくさん動けるのですが、
移動の順番は、小さい数字を出したプレイヤーから先になります。
また、他のプレイヤーとバッティング(同じ数字を出す)してしまうと、
そのターンは動く事ができません。
なるべく他の人と違う選択をしなければならない為、
何とか相手の裏をかこうとして、互いの腹の探り合いとなります。
勿論、中々思い通りにはいかないもので、お互いが裏をかいたつもりで
結果的にバッティングしてしまう事も少なくありません。(笑)
軽いノリのパーティーゲームですが、相手の進路を妨害したり
ゴールを移動させたりと言った戦術要素もそれなりにあります。
リプレイ
「第2回ゲーム大会」の際の5人プレイの様子です。
茶色が棚香由布一郎氏(以下棚香氏)、赤が榊しげる氏、
緑が私(ゆうめい)、水色がらくだ氏黄色がこま氏です。
↑スタート前の写真です。
スタートとゴールの距離は、70cmです。
中央上に見えているのが数字タイルです。
[4],[5],[6],[7],[X]の、全部で5種類です。
各プレイヤーは、この5種類のタイルの中から1枚を選んで裏向きにして場に出し、
「せーの」で全員同時に表に向けます。
↑にょろにょろと動き出したイモムシたち。
イモムシは、自分の出したタイルの数字分だけ移動できます。
どちらかの端のコマを反対の端につけるのが「1歩」で、
それをタイルに書かれた数字の回数(例えば[5]のタイルを出した時は5回)だけ行えます。
大きい数字を出せばそれだけたくさん進めますが、
移動の順番は、数字の小さいイモムシから先になります。
小さい数字を出したプレイヤーは、移動距離が小さい代わりに先に動ける利点を生かして、
後から動くイモムシの進路を妨害するように動く場合も良くあります。
↑お互いが、他のイモムシの進路を妨害しようとすると、
こんな風にイモムシ同士がもつれ合ったりします。(笑)
「X」のタイルを出したプレイヤーは、
他の(バッティングしなかった)プレイヤーの出した数字以外の
好きな数字を選べる他に、ゴールを移動させる事ができます。
ゴールの2本の支柱の片方を指で固定して、自由に回転させる事ができます。
上の写真では、ゴールが最初の位置より遠ざかっていますね。
ゲームは、このゴールに最初に触れたイモムシの勝利です。
↑「せーの」でタイルを表に向けた所です。
このゲームのルールの最大の肝は、他のプレイヤーとバッティング(同じ数字を出す)してしまうと、
そのラウンドは移動する事ができないという点です。
↓見易いように、上の写真を別の角度から見てみましょう。
緑(ゆうめい)と茶色(棚香氏)が[7]、水色(らくだ氏)と黄色(こま氏)が[5]でバッティングしています。
このラウンドで移動できるのは[6]を出した赤(榊しげる氏)のイモムシのみとなります。
この他に、5人プレイの場合、5人全員が別々の数字を出した場合、
[X]のタイルを出したプレイヤーが移動できなくなります。
また、バッティングせずに移動する事のできたプレイヤーは、
次回のラウンドでは、今出した数字を出す事ができません。
(上の写真のケースでは、赤の榊しげる氏は、次のラウンドに[6]のタイルを出す事ができません)
このルールが、次回のラウンドでどの数字を出すかの選択に、微妙なコクを与えています。
言うまでもなく、いかに他の人と違う選択をするかが、重要なポイントになってきます。
毎回誰かとバッティングし続けてしまうと、いつまでたっても動けないなんて事もあります。
こんな風に…。
↑双方の行く手を阻もうと、異様な形で絡み合う赤(榊しげる氏)と黄色(こま氏)のイモムシ。(笑)
デッドヒートする先頭集団を横目に、「く」の字に曲がったまま置いてきぼりを食う緑(ゆうめい)のイモムシ…。
↑ゴール間近の状況です。
焦りが焦りを呼んで、毎回誰かとバッティングしてしまうゆうめいのイモムシは、
相変わらずスタート付近で固まっています。(笑)
ゲームは、混戦を制した赤の榊しげる氏の勝利です。
一匹だけ、完全に置いて行かれてるのがいますね。(笑)
茶色のイモムシの先頭辺りが、最初にゴールのあった位置です。
ゴールは(今回のように)遠ざかるばかりでなく、
近付いたり、左右にずれていったりする事もあります。
↑ゴールの瞬間を別の角度から。
スタート付近で「く」の字に折れ曲がったままの緑のイモムシが哀愁を誘います。(笑)
評価
いかにもアナログならではと言う感じの、非常に楽しめるパーティーゲームです。
[X]が通ればゴールを動かせると言うルールが秀逸ですね。
ルール自体は、子供でもプレイできそうな位簡単なのですが、
心理戦の楽しさは十二分に味わう事ができます。
結構差がついたと思っても、先行しプレイヤーがもたもたしていると、
一気に追いついたり逆転したりする事も珍しくありません。
戦略的なやりこみ要素と言ったものは正直それほどないですが、
カラフルなイモムシの競走は、見た目も楽しく、非常に場が盛り上がります。
写真でもお分かりのように、他のゲームに比べて少々場所を取るので、
(展開にもよりますが、できれば1畳分位のスペースはあった方が良いでしょう)、
大き目のテーブルか床の使える環境がないと、プレイするのは少し大変ですが、
場を暖めるのにはぴったりのゲームだと思います。
ただ、少し残念なのは、先頭のプレイヤー2人が4歩以内でゴールできる状態になると、
双方が[4]を出し続けざるを得なくなり、将棋で言う「千日手」の状態になってしまう事です。
後続のプレイヤーは、[4]さえ出さなければ、どんなに差がついていても容易に追いつく事ができます。
色々考えてみましたが、現状のルールのままでは、おそらく打開策はありません。
このゲームのルールの、ほんの小さなキズと言えるかも知れません。
個人的なアイディアとしては、そういう状態になったら、双方の手札を交換して、
双方が相手のタイルを選ぶようにすれば面白いのではないかと思っています。
私の評価は6点です。
攻略のヒント
1.沢山進むか先に動くか
大きな数字を出すと沢山進む事ができ、小さな数字は先に動く事ができます。
一長一短ではありますが、結論から言うと、一歩の差が意外と大きいので、
先に動くより、大きな数字で沢山動ける方が、このゲームでは原則として有利です。
ただし、言うまでもなく皆が大きな数字を出そうとすれば、
大きな数字はそれだけバッティングしやすくなる訳ですが…。
勿論、先に動ける小さな数字の方が有利な状況もないわけではありません。
当然ながら、ゴール目前では、先に動ける事が大きな意味を持つ場合がありますし、
状況によっては、先に動く事ができれば完全に相手の行く手をふさぐ事が
できるようなケースも生じる場合があります。
アンケート
評価平均:6.67点
名前 | 評価 | 感想 |
榊しげる | 7 | これも単純に人数が多い方が面白い。カラフルないもむしがニョロニョロと這ってるのは見た目も楽しい。進路を遮られる行為は悔しいものの、ゲーム的にはそれほど不利にはならない(というか第三者が得するだけな)ので、数字をめくる瞬間が一番の気合の入れどころ。3人プレイは「4」か「7」を抜いて、バッティングを増やすようにした方が面白いかもしれない。 |
らくだ | 7 | 見た感じはずいぶん子供っぽいゲームだが、見かけによらず白熱したゲーム展開。「他プレイヤーと異なる手札を出して、かつ有利に進む」ための葛藤は、「ダイヤモンド」に似て楽しい。「もうダメだ」と思っていても、最善を尽くしていれば大逆転も有り、実際に誰かがゴールするまでは気が抜けない。 |
ゆうめい | 6 | (詳しい感想は本文を参照して下さい) バッティングの連続でイモムシが動けなくなるのも、それなりに楽しかったりします。ゲーム中、誰かと考えがシンクロしてしまって、2人そろって動けなくなる展開も結構良く見かけますね。(笑) |