ヴォーパルス(Vorpals)   〜世代交代しながら続ける100年の争い〜

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画:ゆうめい
このゲームに登場する、「森の子供達」「バルダンダース」というカードをモチーフにしたイラストです。
どちらも、「希望の船」内で人気の高いキャラクターです。いろいろな意味で。(笑)




箱です。
同人ゲームですが、箱は立派な作りです。
コンパクトなサイズで、持ち運びにも便利です。



左上が勝利点ボード、その下が勝利点を示すコマ、その下がプレイヤーカードです。
右上の茶色のカードが建物カード、その下の青い枠で黒い裏地のカードがユニットカードです。
手前の円形のチップは、左が金貨カウンター、右が経年カウンターです。


レビュー

1ターンを25年として、4ターン100年間で国づくりを競います。

1つのターンは「配置」「戦争」「生産」「経年」4つのフェイズ(段階)に分かれています。
「配置」で全員でカードをドラフト(注)して各自の手札を作り、それを自分の領土に配置します。
「戦争」で隣国との戦争の勝敗を解決します。
「生産」で収入を受け取り、建物を建設します。
最後に「経年」によって世代交代の処理をします。


内政と軍事力のバランスを考えつつ、時代とともに世代交代するカードの
組み合わせを考えるのが楽しいゲームです。

様々な構成要素が非常にバランスよく調整されているので、
有力な勝ち筋が豊富で、様々な戦略を選択可能です。

国産の同人ゲームですが、いろいろな意味でクオリティーの高い仕上がりになっています。



(注)配られた5枚のカードから各自欲しいカード1枚ずつ引き、
   残ったカードを隣と交換して、また1枚ずつ引くことを繰り返して、
   自分の手札を作る。


リプレイ

大変申し訳ないのですが、リプレイ記事はまだ完成していません。(汗)
プレイ中のイメージは、こんな感じです。↓




評価

プレイ感が比較的軽く、慣れてくればプレイ時間もさほどかからないゲームなのですが、
ゲームバランスがよく、繰り返しプレイに耐えられる奥深さを持っています。

戦争、建築、建物の効果、カードの能力やコンボ等、勝利点を獲得する方法は多岐に渡りますが、
運の要素も含め、それぞれの効果がバランス良く配分されていて、それだけに様々な勝ち筋があり、
またドラフトの選択には、他のプレイヤーとの駆け引きの妙もあります。

配置したカードが次々に世代交代していくのがこのゲームの大きな特徴で、
一旦無双の体勢を築き上げたと思っても、世代交代によって刻々と状況が変化していく為、
拡大再生産系のゲームにありがちな、体勢の良くなったプレイヤーが独走状態に
なってしまうパターンが緩和されています。


初プレイでも十分に楽しめると思いますが、
様々なカードの効果を覚える事でより楽しさが増して来るので
出来れば繰り返し遊んでみて欲しいゲームです。

この種のゲームの中では、かなりセットアップが容易な方なので、
繰り返しプレイが気軽にできる点も、高評価です。


2〜5人の何人でプレイしても面白いですが、個人的には3人プレイがベストと思っています。
4人以上だと、両隣以外のプレイヤーとは間接的にしか関われないという事もありますが、
何よりも、3人プレイは最初に配られる5枚の手札のうち2枚がドラフト中に戻って来るので、
相手がどのカードを引いたかで相手の戦略を読む楽しみがある事が、そう思う最大の理由です。


難点を挙げるとすれば、同人ゲームなので多少入手が難しい事と、
ややカードの紙質が弱い事でしょうか。
個人的に、カードをスリーブに入れるのは余り好きではないのですが、
このゲームのユニットカードは、スリーブに入れてプレイしています。


私の評価は、9.5点です。



攻略のヒント

*以下のヒントは「基本セットのみ」の環境を前提に書かれています*

1.まずはレベル2の建物の建築を目指すべし
 レベル2の建物を建築すると、5枚目のユニットカードを場に出せるようになります。
 この5枚目のユニットカードを場に出せるかどうかが、このゲームでは非常に大きな差になる為、
 ゲーム序盤はなるべく早くレベル2の建物を建設する事を目指す事が基本となります。
 出来れば1ターン目でレベル2の建物を建ててしまうのがベストなのですが、
 悪くとも2ターン目には建物がレベル2になるように、ユニットカードの配置を考えましょう。

 1ターン目でレベル2の建物を建てるには、「材木屋」「大建築家」「開闢の巨人」が引ければ
 文句なしですし、2種類の資源を生み出す「森の子供達」も強力なカードです。
 また、次善策として「ゴーレム」をキープしておくのも非常に有力です。
 これらの強力なカードが入手できなくても、建物を建てるためには資源を入手する事が肝要で、
 特に木材を入手出来ると作戦選択の幅が大きく広がります。
 ですから、木材を生産する「木こり」「行商」は非常に重要なカードですし
 鉱石を生産する「鉱夫」や、食料を生産する「農夫」「ファンガス」「狩人」も有用なカードです。


2.ドラフトは、相手の狙いにも注意して
 ゲームに慣れないうちは、どうしても自分の事だけで精一杯になってしまいがちなのですが、
 このゲームのドラフトでは、「相手が欲しているカードを回さない」という発想も非常に重要です。
 特に第2ターン以降は、ドラフトで獲得したカードの半数前後は捨て札になる訳ですから、
 リソースを無駄にしない為にも、捨て札となる手札を相手に対するガードに使うのは当然です。
 分かり易い例を挙げれば、「トーテム像」を配置した相手には「時計職人」「腐敗の王」を回さないとか、
 食料コンボを狙っている相手に食料「ワーム」等を回さないといった事が大切で、
 その為に、たとえ自分には不要でも、それらのカードを自ら引き取ってガードする訳です。
 こうして相手の狙いを阻む事は、このゲームのドラフトにおいて必須と言って良い程重要なパートです。
 なので、相手の狙いを読む為にも対戦相手の動向にはしっかり目を配る必要があります。
 (相手を丁寧に観察する事で、相手の大凡の戦力も判断できますから、戦争の作戦も立てやすくなります)
 相手が何を狙っているのかの見分け方については、攻略のヒント出張版も参考にして下さい。


さらなるヒントはこちら


アンケート

評価平均:8.94点
名前 評価 感想
百八 10 これが日本の同人ゲームってすげえ。カードシナジーを絡めた戦闘や内政の面白さが、コンパクトにまとまってる。ターン最初のドラフトも楽しい。文句の付けようが無い傑作。萌え絵柄拡張パックはよ。
りょうえい 10 ギャザっぽいカードゲームタイプのボドゲはいくつかやったけど、これは最もよくできたゲームの一つだと思う。
LINX 10 戦略と運の程よいバランス、短いプレイ時間、豊富な勝ち筋などとても遊びやすいゲーム。百年間の覇権争いという世界観も素敵。
ゆうめい 9.5 (詳しい感想は「評価」を参照して下さい) 各フェイズのアクションはいずれも基本的に同時解決なので、ダウンタイムが比較的少ない点が長所なのですが、時々迷って長考になっちゃう事もありますね。(笑) 1ゲーム4ターンという長さは、間違いなく絶妙なバランスだと思うのですが、たまに(国づくりが楽しくて)あと1〜2ターンやりたいなと思う時も・・・。(笑)
桐原 『MTG』『世界の七不思議』などで見かける要素をうまーくミックスしてコンパクトにまとめた、ある意味いかにも国産らしいゲーム。とにかくルールの枠組みがしっかりしていて、インストを聞いた時点でもう「拡張が面白そうだ」と思いました。欠点は運の要素が大きく、序盤で出遅れると取り戻すのが難しいところなのですが、そもそもプレイ時間が短いことがその欠点を緩和しています。100年間の戦いという題材も壮大で、経年ルールの味付けとしていい感じです。
榊しげる 最初に覚える事は多いもののゲーム自体はわかりやすいので1プレイすれば大体つかめるレベル。勝利点の稼ぎ方が多様なので、限られたカードからベストな勝ち筋を模索するのは楽しい。程良い運要素と短めのプレイ時間と相まって、繰り返しプレイにも向いている。ソロプレイになりがちなこの手のゲームには珍しく、相手の動向もそれなりに念頭におかなければならないので、その辺もバランスも上手く取れている。
すくーる 2人でプレイしたけど、出来れば3人以上でプレイしたい。何回かプレイして、カードの種類を暗記して、どんなコンボが存在するか把握してからが本番といった感じ。
那緒 ドラフトゲーの為、待ち時間が少ないのが良いゲーム。最初はどうやって勝利点を稼いでいくのかがあやふやになってしまうが、慣れてくるとドラフト時点から方向性を決められるw 一度ではなく、何度もプレイしてほしいゲーム。



おまけ

拡張セット
「ヴォーパルス:ヴィシャス」


「ヴォーパルス」が非常に面白かったので、是非拡張セットもプレイしたくなって、
通販で拡張セット「ヴォーパルス:ヴィシャス」を購入しました。

です。
トランプ位の、小さいサイズです。



上から、新しい建物カード、新しいユニットカード
5金を示す金貨カウンターと、追加の経年カウンターです。
「古きもの」(中央右端)の能力、すごく楽しいです。w

追加されたユニットカードはいずれも強力で、新たな戦術を提供する建物もあります。
プレイの幅を大きく広げる拡張セットですが、追加されるカードの枚数自体は多くないので、
拡張セットの箱から出せば「ヴォーパルス」本体の箱にも十分収納できます。


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