ナビゲーター 〜大航海時代のポルトガル商人になって航海と貿易〜

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画:ゆうめい
今回のイラストも箱絵のパロディーですが、手前の地図上には、
ゲームボードの「ロンデル」を再現してみました。(笑)



です。
厚さはそれ程でもないですが、かなりでかいサイズ(A3位)で、
持ち歩くには相当大きなバッグ等がないと難しいと思います。



メインのゲームボード(奥)と、各プレイヤーが持つプレイヤーシート(手前)です。
箱だけでなく、ゲームボードもかなり大き目(特に横幅が長目)なので、
プレイするには大きめのテーブルか、床の使える環境が必要です。

ゲームボードはリバーシブルで、表裏が英語版とドイツ語版になっています。(写真は英語版)
左上がスタート地点のポルトガル、右端が長崎です。



「ロンデル」のアップです。
各プレイヤーは、このロンデル上でコマを移動させて、自らの行動を選択します。



上段左端が、プレイヤーコマで、左上の人型のものが労働者コマ
八角柱がロンデル上で行動を決定する八角形マーカー、船の形のものは船コマです。
その横が、左から順に、青い○型の探検チップ、家型の工場コマ、灰色の教会コマ、こげ茶色の造船所コマです。
下段は左から、貴族の恩恵トークン、お金を表すコイン植民地トークン(金,砂糖,香辛料)、
強力な航海王子マーカーと(その使用期限を示す)橙色の船コマです。



ルールブック(写真右)とは別に、大航海時代の主要人物(ポルトガル側から見ると「英雄」ですね)の
功績をまとめた冊子(写真左)が付属しています。(これも英語版とドイツ語版のリバーシブルになています)
この時代をテーマにした数々のゲームを見る度いつも、大航海時代〜植民地支配の時代というのは、
あちらの人にとっては、輝かしい栄光の時代なんだなあと思いますね。(笑)


レビュー

プレイヤーは大航海時代のポルトガル商人になって、勝利点を競います。
未知の海域を探検したり、植民地を経営したり、本国で工場(や造船所,教会)を建設したりと、
勝利点の獲得方法は多岐にわたり、様々な戦略を選択可能です。

建築物(工場,造船所,教会)のストックが全てなくなるか、誰かが航海で長崎に到着したら、
そこから一巡プレイを行ってゲーム終了です。


このゲームの進行には、「ロンデルシステム」と呼ばれるシステムが用いられています。
プレイヤーは自分のターンに「ロンデル」と呼ばれる円形の行動選択ボードの上で
自分のコマを移動させる事で、そのターンのアクションの選択を行います。
これによって自分のターンの選択肢が絞られ、他のプレイヤーの行動も読みやすくなります。
この「ロンデルシステム」がボードゲームに用いられるようになったのは、比較的最近の事のようです。
他にもロンデルシステムを用いたゲームはあるそうですが、私はこのゲームが「ロンデル」初体験でした。


得点システムは要素が多いので少し複雑ですが、個々の要素の計算は難しくないので、
各要素を合計するのに電卓があった方が良いかなという程度です。

プレイタイムがやや長いので、そういう意味では重目のゲームといえますが、プレイ感は意外と軽く、
プレイが終わるとついもう一回プレイしたくなる、個人的にはオススメのゲームです。


ちなみに、ゲームタイトルの「ナビゲーター(Navegador)」とは、
大航海時代の幕開けの頃に、航海者のパトロンとなって援助と指導を行った、
エンリケ航海王子(Henrique O Navegador)の事だそうです。
(ポルトガル風に「ナヴェガドール」と発音すべきなのかも知れませんが、このサイトでは、
ゲームタイトルの表記は手元の日本語訳の表記に従う事にしています)


リプレイ

大変申し訳ないのですが、リプレイ記事はまだ出来ていません。(汗)
↓こちらは、3人プレイのゲーム終了直後の写真です。



「ロンデル」はこんな感じ↓で使用します。

八角柱のコマを、ロンデル上で時計回りに移動させながら、行動を選択します。
橙色の船コマは、強力な航海王子マーカーの使用期限を示します。



評価

最近のゲームとしてはプレイタイムがやや長目で、慣れてきても1プレイ1時間半位はかかりますが、
非常に濃密な時間を過ごせますから、プレイ中はそれほど時間を感じないと思います。

ゲームのひとつのゴール(終了条件)は、外洋を探検して誰かがボードの端の長崎に着く事ですが、
航海や探検に出ないで、国に引きこもって工場経営をしても構いません。
ゲームバランスが良く、どのような戦略を取っても十分いい勝負になるので、行動の自由度は高いです。

勝利点の獲得方法は多岐にわたりますが、ぞれぞれの要素が密接に関連し合っているので、
他を無視して何かひとつの要素だけを突出させようとするやり方では、中々うまくいきません。
適度にバランスを取りつつ、最終的に何か得点源になる要素を突出させる事を目指すのが、戦略の基本となります。
特定の戦法が強いと思っても、皆がそれをやろうとすると価値が下がり、逆を行った人が有利になります。
このように、各ターンのアクションや戦術の選択には、他のプレイヤーの動向が極めて重要な要素になります。
簡単に言えば、なるべく他のプレイヤーがやらない事をやると有利になりやすいのですが、
お互いがそれを意識してプレイするので、実行するのは決して簡単ではありません。

こうしたプレイヤー間の駆け引きや、目前の最善手を探しつつ中長期的な戦略を考える楽しさは、
間違いなく「本格ゲーム」ならではのもので、複雑な得点システムや長目のプレイタイムもあいまって、
恐らく「重目のゲーム」に分類されると思うのですが、プレイ感は意外な程重さを感じないもので、
アナログゲーム初心者の方でも十分に楽しむ事ができます

それを可能にしているのが、レビューにも書いた「ロンデルシステム」で、
自分のターンに可能な選択肢を狭める事で(原則3択ですが、実質的に2択くらいになっている場合が多いです)
迷う要素を減らしつつ、先を見据えた戦術を考えなければならないようになっています。

常に他のプレイヤーの動向に注意しなければいけない所が、このゲームの非常に楽しい部分なのですが、
逆に言うと、取るべき戦術が他のプレイヤーの動向に大きく左右されるという事なので、
ソロプレイ的に自分のやりたい戦法をひたすら進めたいタイプには、あまり合わないかも知れません。


アナログゲーム初心者の方でもこのゲームに熱中し、繰り返しプレイしたがる様子を何度も実体験しました。
ゲームの経験値の高い方でも十分に楽しむ事が出来ますが、初心者の導入にも有効なゲームと思います。

私の評価は9点です。



攻略のヒント

1.ロンデルをしっかり見るべし
 ターン毎の行動の選択肢を狭める「ロンデルシステム」の大きな利点は、
 自分の行動が考えやすい点だけでなく、他プレイヤーの行動が読み易い事にもあります。
 例えば、何かやりたい事(植民地を買いたい等)があって、他のプレイヤーに先を越されたくないような時、
 急いでその行動をしにいくべきか、その前に他の行動をしておく余裕があるのかといった判断をする為には、
 他のプレイヤーの(ロンデル上の)ポジションを考慮する事が非常に重要です。
 (非常手段として船を沈めてロンデルを加速させる事も可能ですが)原則として各プレイヤーの行動は、
 現在のロンデル上のポジションから3歩以内にある行動からの三択になります。
 なので、他のプレイヤーに先を越されたくないと思っていても、他のプレイヤーが一手でその行動を取れる
 (ロンデル上の)ポジションにいなければ、普通は慌てる必要はない訳です。

 更に、航海王子マーカーのポジションと、その使用期限を示すロンデル上の橙色の船コマの位置も、
 しっかりチェックする必要があります。
 航海王子マーカーを持ったプレイヤーは、好きなタイミングで「SAILING(航海)」出来るので、油断していると
 行動の先を越される場合がありますし、もうすぐ自分に航海王子マーカーが回って来る事が分かっているなら、
 自分のターンでロンデル上の「SAILING(航海)」は飛ばして構わないかも知れません。


2.序盤はバランスを考え、中盤以降に独占を狙うべし
 このゲームでの主要な得点源は、「植民地」「工場」「探検」「造船所」「教会」の5つです。
 これらは、「貴族の恩恵トークン」によって基礎点をアップさせる事が可能なので、最終的には
 5つの分野のうち1つないし2つを独占的に獲得して、そこに「貴族の恩恵トークン」投入するのが、
 このゲームの勝利点獲得戦略の基本となります。(ひとつの分野に偏らない「バランス戦略」で
 勝った例も実際にありましたが、狙って実行するのは中々難しいと思います)
 とはいえ、各要素は互いに密接にかかわりあっているので、ゲームの序盤から
 特定の要素だけに特化して強化しようとしても、中々経営が上手く回って行きません。
 序盤はある程度バランス良く進めつつ、ゲーム中盤以降のどこかでタイミング良く
 何かの要素に特化して抜け出す
のが理想的な展開です。
 逆に言えば、ゲーム中盤以降は他のプレイヤーに易々と何かを独占させないように注意すべきで、
 場合によっては、独占を阻止する為に、自分の戦略にあまり必要ない分野でもあえて獲得して、
 全体のバランスを取らなければならない場合もあります。


さらなるヒントはこちら


アンケート

評価平均:8.35点
名前 評価 感想
榊しげる 最初に覚える事は多いが、初プレイの間にほぼ理解できるレベル。ランダム要素はほぼ無いのだが、プレイヤーの行動によって毎回違う展開になるため飽きがこない。ロンデルシステムは秀逸。行動は三択のようで一択・二択の事も多い…とみせかけて二手先・三手先を考えると悩ましいという。勝負も差があるようにみえて5〜15点差くらいで収まる事が多く、最後まで勝敗がわからないのも好印象。セットアップに時間がかかるのがマイナス点か。
百八 プエルトリコとエンデバーの良い所を足して進化させたような感じ。ロンデルシステムが素晴らしいですね。このゲーム特有のテンポを生み出してます。腰を据えてやりこみたいタイプのゲーム。やや重め。
ひらやん 絶妙なバランスで、最後まで順位がわからないところが面白い。意外と植民地の価値があなどれないところもマル。
ゆうめい (詳しい感想は「評価」を参照して下さい) 経験者と初心者でプレイする時は、経験者がスタートの資金を100クルゼーロ減らすと、割と良いハンデになると思います。あと、後半の海域の「探検」は、もう少し高得点(例えば探検チップを2個置くとか)でも良かったかなあと思います。特に長崎。
りょうえい 皆のやりたい事を予測しながら全体を俯瞰して、最善手に近い選択を続けていくゲームだと思った。細かい計算よりも感覚で遊べる所が自分に合っていた。
LINX 戦略的なことはまだよくわかっていないんですが、とにかく長崎までたどり着くのと、船を沈めてロンデルを加速させるのが楽しいです(笑) 1プレイに時間がかかるため、気軽にやるには向いてないかも。
らくだ 8.5 1プレイしかしていないが、やり込めば相当楽しめるゲームと見た。かなり多くの要素があり、導入には時間がかかるが、プレイは割とすんなり進む。他の方も書くと思うが、「ロンデル」という「1ターンに出来る選択肢を狭める」システムのおかげで、複雑なゲームであるにもかかわらず進行がスムーズ。実社会では、何らかの問題に対応する際、現実が複雑過ぎて手に負えない、という事はよく有る。そういう時、現実をうまくモデル化し、選択肢を狭めて意思決定を素早くする、というのは、世間で普通に行われている事なのだが、このゲームは、それを見事に体感させてくれる佳作である。(3人プレイ)
那緒 長崎を目指しながら植民地を開拓していくゲーム。先に進むには船が必要で、船を獲得するには人やお金が必要で、人を獲得するにはお金が(ry といった具合にやりたいとこに事欠かないw ダントツで最下位だったのでリベンジしたいゲーム。
西野沢 本格貿易ゲームだけどルールはわかりやすい。時間がかかりすぎるのがネック。
桐原 大航海時代という比較的よくあるテーマの、お金やら工場やら船やら貴族の恩恵やらコンポーネントの多い、いかにもボードゲームらしいボードゲーム。労働者に関する行動をするのが好きなのですが、どうも造船&航海をする気が起きず、それだと勝てる気がしませんね。中盤までは「何をすれば有利」というより「何をやりたいか」で行動を決めるしかないこと、取り合うリソースの少なさゆえに状況がコロコロ変わって思考時間が長くなりがちなこと、上家と方針がかぶると極端に不利になってしまうことなどが、個人的にストレスに感じます。逆に、できることがたくさんあって迷っちゃう感が好きな人は楽しいのではないでしょうか。


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