K2 〜2人の登山家を指揮して、K2の頂上を目指す〜

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です。
日本で発売されるゲームとしては少し珍しい、ポーランド製のゲームです。
山岳のイメージのない国なので、このテーマはちょっと意外な気もします。(笑)
現在は日本語版も発売されていますが、ゲーム自体に言語依存は全くありません。



左のボードが、メインボードの「易しい」面です。
右上は、夏と冬の天候タイル、その下はプレイヤーボードです。



左が、メインボードの「難しい」面です。
右は、上から黒い天候マーカー、5色の冒険家コマと、テントコマ順応マーカー
その下の右側中段がプレイヤーカードです。
一番下段のピッケルの絵が描かれたマーカーがスタートプレイヤーマーカー
丸いマーカーがリスクトークンです。



レビュー

2人の登山家コマをチームとして協力させて、K2登頂に挑みます。

各プレイヤーは移動または体力回復のカードを、毎ターン6枚の手札から3枚ずつ出します。
どんどん移動力の高いカードを出してずんずん登れば良いだけなら話は簡単なのですが、
この時移動力の合計が最大だったプレイヤーは、0〜2点分の体力か移動力を失う
[リスクトークン]を引かなければなりません。
この[リスクトークン]が、カード選択の際に良い感じの味付けになっています。

登山家コマ1人につき1個ずつ、体力を回復できるテントを設置する事ができ、
何処にどのタイミングでこのテントを設置するかも、チーム戦略の重要な要素です。


高度が上がるにつれて、山の環境は過酷になります。
無理な登頂計画を強行すると、山で命を落とすことになります。
更に、時として山は猛吹雪に見舞われ、登山家の体力や移動力を奪って行きます。
天気予報を示す[天候タイル]のチェックは決して怠れません。

また、山頂に近づくほどに一つのマスに滞在できるコマの数が減っていく為、
折角カードマネージメントの計画を立て、満を持していざ登頂と思っても、
他のプレイヤーが邪魔になって思うように動けないと言った事が頻繁に起こります。
山を制するのは、決して簡単な事ではありません、(笑)


テーマとプレイ感が非常にマッチしていて、
山の厳しさを体験した気分になれるゲームです。



リプレイ

大変申し訳ないのですが、リプレイ記事はまだ出来ていません。(汗)
↓こちらは、プレイ中のイメージ写真です。




評価

このゲームをデザインしたのは、本物のアルピニストの方だそうで、
ゲームの内容の方も流石のこだわりを感じさせる作りになっています。

なるべく計画的にエレガントに登山したいのは山々なのですが、
手札枚数の制限が山での行動の難しさを良く表現していて、カードの選択が不自由な事と、
行動に他のプレイヤーの動向の影響をかなり受ける事から、中々理想通りには登頂できません。
戦略性、カード運や展開運、他プレイヤーとの駆け引きの要素もバランス良く、
シンプルなルールでありながら、登山の様々な要素が上手く再現されています。

ルールはシンプルと書きましたが、プレイ感は決して単純ではありません。
山の頂上に到達するだけでなく、そこから安全な所まで無事に下山する事が重要なのですが、
頂上付近では体力と移動力を大幅に消耗する為、これが中々一筋縄では行かず、
プレイヤーは「山の厳しさ」を思い知らされる事になります。

山頂付近では、他のプレイヤーとの駆け引きもかなりシビアになります。
他のプレイヤーに行く手を塞がれて、自分の予定が大きく狂ってしまう事もしばしばです。
1〜5人でプレイ可能ですが、プレイ人数が増えるほど難易度は上がると思います。


難度の異なる2種類のボードと、冬山と夏山2つのバージョンの天候タイルが用意されているので、
組み合わせ次第で様々な難易度の登山が楽しめるようになっています。
冬山では、天候次第で(体力だけでなく)移動力も奪われるので、より綿密な登山計画が必要となります。
理想的には、移動力の制限のある日はテントにこもって体力回復に専念したいのですが、
カードの引き運の要素も大きいので、中々理想の計画通りに行動できるものではありません。
更に、天候タイルのめくり順によっても難易度は大きく変動します。
(プレイヤーが登頂を狙う頃合いに山頂近辺の天候が荒れていると、非常に難度が高くなります)


テーマの再現性が非常に高いので、
登山というテーマに興味のある方には特にオススメですが、
ゲーム中盤以降はかなりジリジリとしたストレスの多い展開になる事が多いので、
このあたりは、人によっては好みの分かれる所かも知れません。


私の評価は7点です。



攻略のヒント

1.リスクトークンを意識すべし
 このゲームでは、無理な登山計画は死を招きます。
 運悪くリスクトークンを引いてしまっただけで計画が瓦解するようならば、
 そもそもその計画は、余裕がなさすぎるのです。
 特に、移動力を多目にプレイしようとしている時は、
 もしリスクトークンを引いてしまった時どうするかを、きちんと考えておきましょう


2.他のプレイヤーと登山ルートをずらすべし
 頂上に至るルートは複数あり、それぞれに移動力や体力の消費量が異なります。
 どのルートを通るのがベストかを考えるのも非常に楽しいのですが、実際の(3人以上の)プレイでは、
 理論的に有利なルートを通る事よりも、他のプレイヤーから行動の制限を受けない事の方が重要です。
 高度が高くなるほど1マスの人数制限が厳しくなり、他のプレイヤーのコマが行動の邪魔になる事が
 多くなるので、登頂にはなるべく他のプレイヤーと重複しないルートを選んだ方が有利です。


更なるヒントはこちら



アンケート

評価平均:6.90点
名前 評価 感想
らくだ 8.5 K2への登山、それも並みではないアルパイン・スタイルの厳しさをゲーム化。「厳しいゲーム」なのだが、プレイ感が重いわけでもなく、バランスはとても良い。命をかけてアタックするとどうなるか、このゲームは見事に教えてくれる(笑)。(2人プレイ)
百八 雪山というテーマの再現性が見事。シンプルなゲーム性の中で、山の厳しさや緊張感、そして絶望感を身をもって味わう事ができる。誰よりも早く頂上を目指す事は大事だけど、無事に生きて帰る事はもっと大事。山を舐めてかかったら死ぬ。
ゆうめい (詳しい感想は「評価」を参照してください) 単純な「最適解」を探る事以上に、他のプレイヤーとの駆け引き(登頂のルートやタイミングを上手くずらして渋滞を避ける事)が重要で、かつ難しいです。せっかく登頂に成功したのに、下山しようとしたら他のプレイヤーが渋滞していて降りるに降りられず死亡してしまった時の絶望感は、かなりのものです。(笑)
榊しげる ルールは簡単で選択肢も少ないので敷居は低い。しかし、先を見据えて計画的にカードを使わなければ山頂の征服は覚束ないので、意外とプレイ難度は高い。上記の理由でカードの選択がスグ出来る局面とかなり計算が必要な局面があり、それはプレイヤーによってマチマチなのでプレイがやや冗長になりがち。登山の辛さ・楽しさの雰囲気は味わえるものの、やや辛さが強く、達成感が希薄なのが残念。
桐原 天気と行動順の気まぐれで死者が出るほのぼの山登りゲーム。比較的バカゲーの類だと思います。ゲームデザインの本質は、往年の名作『アベ・カエサル』に体力と天気が加わった感じ。コースのつぶし合いがあるので先行した方が有利ですが、天気とリスクマーカーの存在がジレンマを産んでいます。あまり勝ち負けにこだわらず、自分のペースで登頂を目指すのが、楽しく山登りをするコツではないでしょうか。(笑)


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