「王牌(わんぱい)ゲーム」を楽しもう!


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様々なゲームジャンルの中でも、私は「王牌ゲーム」というジャンルのゲームが大好きです。
「王牌」は「わんぱい」と読みます。
「王牌(わんぱい)ゲーム」は私が作った造語なのですが、それを示す他の適当な用語や、
他の文献やサイトでそういう分類をしてるいる記事が私の知る限り見当たらないように思うので、
もしかしたらこれは私のオリジナルのジャンル分類なのかも知れません。
(これに該当する、より一般的な用語をご存知の方がいらっしゃいましたら、是非教えてください)

「王牌ゲーム」
は、ある程度ゲームを知っている方なら、概念として知らない人はいないと思いますし、
個人的にはゲームを面白くする為のかなり重要な要素と思っているので、
私以外誰もゲームの特徴を示す要素として着目していない(?)のはちょっと不思議な感じがします。

さて、「王牌ゲーム」とはどんなゲームを指すのでしょうか。
麻雀の「王牌」からつけた用語なので、麻雀をご存知の方なら既にピンと来ていると思いますが、
そうでない方のために念の為ご説明します。


【王牌ゲームの定義】
ゲームに使用するカードやタイル等を、フルデッキ(すべてのカードを使用した状態)でなく、
ランダムに何枚か抜いた状態で使用してプレイするゲーム



「ランダムに抜く」というのが重要で、「マンマミーヤ」等のように、
プレイ人数によってカードを決まった枚数抜いて調整するようなタイプのゲームは、
調整の結果使用する各種カードの枚数や内訳が明確に判明しているので、
「王牌ゲーム」ではありません。

定義に従うと、「麻雀」は勿論「王牌ゲーム」ですし、その他に「希望の船」所有のゲームで言えば
ビブリオスが典型的な「王牌ゲーム」で、他に「コロレット」,「ゲシェンク等も「王牌ゲーム」
に分類する事ができます。(いずれも個人的に高評価を与えているゲームです)
また、「ペンギンパーティー」「ケルトカード」2人プレイの時のみ「王牌ゲーム」になります。
そして私は、どちらのゲームも2人プレイが一番面白いと思っています。

コロッレット



ゲシェンク


やや定義を広げて「結果的にランダムに何枚か抜いてプレイするのと同じ形になるゲーム」まで含めれば、
トランスヨーロッパもまあ「王牌ゲーム」に分類できると思いますし、
ヴォーパルスも2〜3人プレイの時は結果的に「王牌ゲーム」になっています。


「王牌ゲーム」の魅力について語るには、「カウント」という概念についても語らねばなりません。
このコラムを読んで下さっているような方には何を今更という感じかと思いますが、悪しからずお付き合い下さい。

カウントとは、単純に言えば数を数えること。
これは、全てとは言いませんが殆どのゲームに勝利する為に、非常に重要かつ絶対必要な技術です。

お互いが初めてプレイするゲームであっても、ゲームの経験が豊富な人が
そうでない人を圧倒する場合が多いのは、大体の場合このカウント
当たり前に行う習慣が身についているかどうかによるのです。

単純なカウントの例を挙げれば、[X]と言うカードが8枚入っているゲームで、
これまで場に見えた[X]が5枚(これは数えて覚えておく必要があります)で、
自分の手札に2枚[X]が見えていれば、当然ながら世の中に残っている[X]は1枚で、
それは必ず山札か誰かの手札にあります。
もしこの(自分から見て)最後の1枚の[X]が場に見えれば、
もうこの世に自分以外[X] を手札に持っている人は絶対にいないのです。

こう書くと、ずいぶん当たり前の事を言っているように聞こえるでしょうが、
カウントの習慣がない人にとっては、こうした思考法が意外なほど難しく感じられるもので、
結果としてカウントさえしていれば自明なはずの勝利のチャンスに気付かなかったり、
簡単に阻止できる相手の勝利を見過ごしたり、優勝の為に妨害すべき相手を間違えたり
といった事が頻繁に起きてしまうのです。


「王牌ゲーム」の話に戻りましょう。
フルデッキを使用するゲームでは、原則として完全なカウントが可能ですが、
「王牌ゲーム」でのカウントは、どうしてもゲス(当て推量)を伴います。
(厳密に言えば、フルデッキのゲームでもカウントにゲスを伴うケースは少なくないのですが、
ここでは最も単純な原則論を述べているものと思ってください)

トランプゲームの「大富豪」(話を分かりやすくする為に、ジョーカーは使用していないものとします)で、
最強のカードである[2]が4枚場に出たならば、その時点で貴方の手札の[A]は最強カードです。
[2]がまだ3枚しか出ていないなら、[2]絶対に誰かの手札にもう1枚残っているので、
それが場に出ない限り貴方の[A]絶対に最強ではありません。
ですがもし「大富豪」が、ランダムに10枚のカードを抜いてから行う「王牌ゲーム」であったなら、
[2]が3枚場に出た時点で、貴方の[A]もしかしたら既に最強なのかも知れないのです。

デッキからランダムに適当な枚数を抜くというだけの非常に簡単な手段で、
カウントにこうした不確定要素を適度につけ加える事ができます。
これが「王牌ゲーム」の要諦です。


そんな訳で、フルデッキより「王牌ゲーム」の方が、カウンティングは難しいのですが、
意外な事に(?)それによってかえってプレイ時間の短縮に繋がる事も多いです。
完全なカウントが可能なゲームでは、ついつい完全にカウントしたくなってしまうのが、
ゲーマーの習性と言うもの。
それが勝敗の鍵を握るとなればなおさらです。
結果として、読みきれそうな場面ではしばしば長考が多くなってしまいがちになるのですが、
「王牌ゲーム」では、どこまで頑張っても完全にはカウントできないという意識から、
自然と大雑把なカウントでプレイする事になり、案外サクサクとプレイが進んだりします。


ガチのゲーマー同士で勝負を競うなら、カウンティングや読みの能力の優劣で
勝負の決まるゲームで真剣勝負をするのも、勿論大変楽しいものです。


しかしながら、色々なレベルのプレイヤーが混在するフィールドにおいては、
極論を承知で言えば、完全なカウンティングが可能なゲームは、
「カウントできてしまう」事自体が欠点となり得ます。
そうしたフィールドで「カウントできてしまう」ゲームをプレイするのは、
カウントの習慣のないプレイヤーが勝てなくて退屈と言うだけでなく、
カウントするプレイヤーにとっても退屈なものなのですから。

かといって、カウントの要素の少ないゲーム(=運要素の強いゲーム)ばかりプレイしていては、
(勿論「運ゲー」も非常に楽しいものなのですが)ゲームをプレイする楽しみも半減と言うものでしょう。


「王牌ゲーム」は、カウントに不確定要素を加えることでゲームに深みとコクを増してくれます。
上に書いた「大富豪」の例で言えば、場に3枚の[2]が見えた後で最後の[2]が誰かの手札に残っているかどうかは、
それまでの他プレイヤーの行動等から類推しなければなりません。
それが「王牌ゲーム」「深みとコク」であり、時として初心者が経験者に勝利する意外性をもたらしたりもします。
勿論、決してそれでカウントが無意味になるわけではなく、
カウントの重要性とカウントするプレイヤーの優位性は保ちつつ、
カウントの能力の優劣だけで勝負が決まってしまう事を防いでくれるのです。



以上、簡単な操作でゲームが面白くなる「王牌ゲーム」の魅力について駆け足で紹介してみました。
個人的には上でも紹介したビブリオスが、「王牌ゲーム」の魅力の詰まったゲームでおススメです。


どうか、貴方の身の回りの「王牌ゲーム」を探して、プレイを楽しんでみて下さい。
そして、もしお勧めの「王牌ゲーム」があれば、是非私に教えてください(笑)



追記:
「希望の船」のゲーム紹介記事では、初心者の方が読まれる事を想定して、
「ワーカープレイスメント」「エリアマジョリティー」「デッキビルド」etc.といった、
ゲームの専門用語はなるべく使用を避け、文章の流れ上やむなく使用する場合も
必ず補足説明をつけるようにしています。
まして「王牌ゲーム」は、自分で勝手に作った造語ですから、
当然ながら、これまで紹介記事に使用したことは一度もありませんでした(笑)
でも、折角なのでこれからはもう少し積極的に使用してみようかなと思っています。



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